男性のマルチプルオーガズム〜どうすればできるようになるか〜③

投稿者: | 2020年11月16日

前回のブログでは、男性がマルチプルオーガズムできるようになる要因について、以下のように論文中で4つ考察されていることを触れました。
(1)射精をなるべく避けて、射精なしでオーガズムを得る
(2)精神刺激薬の影響
(3)複数の性的パートナー を持つこと、適宜新しいパートナーを持つこと
(4)大人のおもちゃを使用する。

⑴⑵について前回のブログ内で解説しました。今回はその続きで、⑶⑷について解説していきましょう。

 

(3)複数の性的パートナーを持つこと、または新しい性的パートナーを持つこと

マルチプルオーガズムは、3人以上で性行為をするグループセックス(いわゆる乱行) の場合起こりうる。このように経験に基づき証言している男性もいるようです※1。要するに、性行為直後であっても、パートナーが変わって目の前に新規の女性が現れれば、また頑張れるという考えのようです。

なんとも破茶滅茶な考えですが、生物学的にはあながち嘘ともいえず、ねずみの実験では有名なことです。

クーリッジ効果と呼ばれています。新しいメスの存在がオスの性衝動を活気付けることを指します。この実験では、1匹のオスねずみを、数匹のメスねずみと同じ箱に入れて性行為をし続けさせます。最初はひたすら性行為をし続けますが、そのうち、オスねずみは疲れてしまって性行為をしなくなります。その状態のオスねずみに、今度は別の新しいメスねずみを箱にいれて出会わせると、なんと!また性行為を再開するのです!そしてクーリッジ効果は、やはりオスの方が顕著のようです。

果たして人間ではどうなのでしょうか?それに関連する興味深い研究があります。

2015年に”Evolutionary Psychological Science”という雑誌に発表されたアメリカの研究です馴染みの女性と新規の女性を相手にする場合、どのように男性の射精が変化するかを調べた研究です※1。

18歳から23歳までの男性23人が対象です。

方法は、まず男性に数日おきにアダルトビデオを見てもらい合計7回マスターベーションで射精してもらいます。ただし、ビデオに出てくる女優は、同じ女優が連日続きますが、最後の7回目だけ別の女優に変えました。つまり男性は、1回目〜6回目のビデオの女優は同じ女優を見て射精しますが、最後の7回目には新規の女優を見て射精することになります。そして、その精子の数や運動率、射精までの時間がどのように変化するかを調べました。※1

その結果、

新規の女優を見た場合は、馴染みの女優(1〜6回までの女優)の場合と比較して、射精量と総運動精子数が増加しました。つまり精子の質と量が上がったのです。※1

それだけでなく、新規の女優の場合は、射精までの時間も早くなりました。つまり早く射精しまったという事です

著者らの研究では、男性は馴染みのある女性ではなく、新規の女性を見た時に、より質の良いの精子を生成し、より速く射精した。と結論付けています。※1

この研究から、新規の女性が、男性にとって性的欲求を促進し、賢者タイムを短縮 する可能性があると著者らは考察しています。しかし、これがマルチプルオーガズムに直接的に関連するとは言えず、今後さらなる研究が期待されます。

 

(4)大人のおもちゃの使用

大人のおもちゃを使用することで、マルチプルオーガズムを得ることができる男性が報告さています。肛門 と 会陰(いわゆる蟻の門渡り)を刺激する装置によって、射精せずにマルチプルオーガズムできると主張する男性もいるようです※1 。ただし、男性のマルチプルオーガズムに大人のおもちゃがどの程度効果的であるかを調査した科学的な研究はまだありません。あくまで自己申告の報告しかなく、主観的なので信憑性については現時点では注意が必要です。将来的には、肛門や前立腺の刺激によるオーガズムが普通の射精とどのように違いがあるのか、fMRIを用いてオーガズム発生時の脳の反応の研究が行われれば、さらに明らかになっていくかもしれません。

これは大人のおもちゃを使って、男性の部位を刺激された場合したが、他には、女性に対して大人のおもちゃを使うことで、結果的に男性がオーガズムを得たという興味深い報告もあります。

論文中に紹介されているのは、2004年、2006年のカナダとアメリカの研究です。※1

その研究対象となった男性は、前立腺癌の手術後のため勃起能力を完全に失っている男性です。その男性は、勃起しなくなってから数年が経っていましたが、レズビアンの女性からアドバイスをもらい、いわゆるペニバンを使って奥さんと性交渉をするようにしました。そしてペニバン挿入時は男性の弛緩したペニス は奥様の手によって陰茎刺激を受けながら、性行為をしました。すると何と!ペニバンで挿入した時、その男性は1〜2分以内に2〜3回 オーガズムに達したのです。勃起能力がない男性がマルチプルオーガズムを経験できるようになったという大変興味深い報告です。※1


繰り返しますが、これも一人の患者の報告なので、今後データが収集されるまで信憑性には注意が必要です。

 

以上⑴〜⑷まで、男性のマルチプルオーガズムの要因について論文の紹介をしました。ただし、各要因どの程度強く影響するかなど、その程度はよくわかっていません。

男性のマルチプルオーガズムは、多くの一般の方にとって関心があることですが、驚くほどほとんど科学的な研究が進んでいません。と最後に論文の著者らは結んでいます。※1
まだまだ未知のことが多く大変興味深いテーマですね!

 

引用論文)
※1Erik Wibowo, Richard J. Wassersug.”Multiple Orgasms in Men-What We Know So Far” Sex Med Rev 2016;4:136-148