よくセックスは健康に良いって聞きますけど、本当ですか?
アメリカのワシントン大学による研究によると、セックスの回数が死亡リスクの低下と関連していました。中高年にとって、セックスの回数が、死亡に関連する健康指標となる可能性が示されました。
セックスをすることで、二人の愛情表現だけでなく、健康や幸福度に良い影響があることが過去の研究でわかっています。また性欲を司る1つのホルモンであるテストステロンが仕事の出来と関連するなんていう報告もあります。「英雄色を好む」という、ことわざもありますね。
では、セックスと長生きについてはどうでしょうか。セックスは寿命とどんな関連があるのでしょうか。
そんな内容について、最近新しい研究が発表されたのでご紹介します。
アメリカのワシントン大学による研究で、2020年7月に”The Journal of Sexual Medicine”に掲載されました。※1
20歳から59歳までの15,269人のアメリカ人(平均年齢39.1歳、男性7,765人、女性7,504人)を対象にセックスの頻度と死亡リスクを調査しています。
上記のアメリカ人のうち12,598人の参加者について、5.7年追跡調査(追跡期間中央値)できて、その間に228人の死亡していました。そのうち、ガンが原因で死亡した人が69人、心臓血管系の病気で死亡した人が29人でした。
それらを分析した結果、
セックスの頻度が高い人は、死亡のリスクが低いことがわかりました。
具体的には、
セックスを週1回以上する人(年52回程度)は、
年1回以下の人と比べて
死亡のリスクが約半分程度であることがわかりました。癌が原因による死亡リスクは0.3倍程度でした。
つまりセックスが、死亡リスクの低下と関連していることが明らかになったのです。
論文の中で研究者らは、セックスと健康との関連について考察しています。セックスは運動と言えるほどの身体活動であり、セックス中には幸福を感じるエンドルフィンが出ることがわかっています。またパートナーと親密さを共有することが健康に影響しているかもしれません。
それらを考えると、さまざまな病気の初期症状として、性的活動の低下が現れる可能性を指摘しています。つまりセックスの回数が健康指標になる可能性があるかもしれないのです。
ただし、この研究にも注意する点があります。それは、セックスと死亡率の因果関係はわかっていないことです。つまり、セックスの回数が多いからと言って、直接的に寿命が伸びるわけではありません。寿命を伸ばすために、セックスを一生懸命しましょうという意味ではないのです。あくまでセックスの頻度が、『健康指標の1つ』ということですね。
結論:
セックスの回数が、死亡リスクの低下と関連していました。
中高年にとって、セックスが死亡に関連する健康指標となる可能性が示されました。
※1
Cao C, Yang L, Xu T, et al. ”Trends in Sexual Activity and Associations With All-Cause and Cause-Specific Mortality Among US Adults. ” J Sex Med 2020;17:1903–1913.